2021/03/11
デリバリー・テイクアウトのファン獲得とメニューポイント(健康メニュー編)
あなたの料理(メニュー)は「どこの」「誰に」向けて届けたいのか?
長年繁盛店でも新規オープンのお店でも、コロナ禍により同じスタートラインに立たされたデリバリー・テイクアウトビジネス事情。専門店の場合は単一メニューの為、もともとテイクアウト対応もスムーズに行われているようです。一方、専門店でない飲食店の場合は「withコロナ対策」から始まったメニュー考案、メニューアレンジも付け焼刃ではそろそろ立ち行かなくなってきた段階になってきています。そして、一言にテイクアウトの食事と言っても用途は多岐にわたってきているのが現状です。(下記に挙げてみます)
● ステイホームやリモートワーク用の日々の食
● 自粛期間の気分転換でのプチ贅沢食(自分ご褒美)
● 会食自粛による自社内での公的なお弁当スタイルの食
● 夜間飲食店閉業期間における自宅飲みでの食
● 連日の食事作りに疲れたママの手助け、手抜き用食
● 三ツ星クラスの高価格帯レストランの味をこの機会にお試し食・・・等々。
どの用途に自分店のメニューがあっているのか?一つではなく掛け合わせられるのか?どこの誰が買ってくれるのかを想定し、そのニーズに共調させることが重要です。
もっとも買ってくれるタイプの購買層を判断しトータルで魅せるメニューを
今日はカレーが食べたい!と欲求がはっきりしている日は当然ながらカレーの専門店でテイクアウト・デリバリーを購入するでしょう。しかし、食は毎日延々と続く終わりのないものです。その「何が食べたいって決まっていないけど、美味しいといいな。ハズレたくないな。」という人が大半かと思います。それが多くの購買ニーズになるのです。下記のピラミッドは購買層をピラミッド型にし てみたものです。
①はかなり具体的にそのメニューを探している状態。条件があれば即買いしてくれます。ただし条件には「ブランド力・既に食べたことがあるファン・価格や内容が魅力的」必要です。
②はお店やメニューを少し知っているけど、どうしようかな?と検討している状態。購入動機は「他店とハッキリとした差別化が出来て競合他店よりもお得感がわかる事」
③はお店も食べたいものも全く決めていない状態。この層を購入に向かわせるには「日常感に寄りそう事(健康や飽きない味など)・自身や家族への寄与(値ごろ感、家族に喜ばれるなど)・絞り込まない事(少量多品目や何でもあるイメージ)」が大切です。
当然①への販売促進を目指したいところですが、ピラミッドにもあるように購買母数は限られます。もし、専門店ではない場合は②③の顧客をお店のファンになってもらうターゲットと捉えメニュー考案をし、その層に魅せる方法(メニュー内容/価格・包材・写真・販売チャネル・キャッチコピー)を考えていきたいところです。
②③におけるメニュー内容には先に挙げた「健康」「飽きないこと」「自身家族への寄与」「絞り込まない事」「他店との差別化」「お得感」がポイントとなります。
健康メニュー
在宅自粛が長引けば気になってくるのが、当然、運動不足や食生活の乱れからくる健康意識の高まり。毎日の食事を見直してインスタント食品よりも健康的なお弁当での免罪符を得たい人も多いはずです。それには糖質が低い食品や低GI食品(血糖値コントロール)高たんぱくな食品、低脂質や低吸油のイメージが欠かせません。
メインおかず(主菜):王道の唐揚げなどもアレンジ次第で健康側面に繋がります。 鶏むね肉でカロリーダウンをしても○○秘伝の麹で漬け込みジューシーにこだわっています。衣を小麦粉ではなく米粉使用、こめ油、大豆油などの健康志向の強い油で揚げています・・等
ハンバーグであれば、肉のつなぎにオートミールを混ぜる。(意外とひき肉感に合います)ひじきや乾物を混ぜて和風ハンバーグや、ナスのみじん切りを混ぜて大幅にカロリーダウンのナスバーグ、バッター液やパン粉を工夫して揚げないジャンボメンチカツなど(これらは私が実際に開発をして美味しく出来たものです。アレンジは無限大なはず!)
付け合わせのおかず(副菜):おかず全部で10品目の栄養素が取れる!季節の野菜(旬の今がおいしく栄養もたっぷり)を使って、体に良いと認知のある豆製品を多く取り込んでみる等野菜の彩りは必須です。なるべく色残りよく鮮やかな加熱をして目を引くお弁当に仕上げるのも大切です。
ご飯やパン:白米、玄米、五穀米などのチョイスの幅があるなら尚良いです。そして意外と喜ばれるのは、ご飯の量も変えられること。大盛りは昔から通例ですが、積極的な少盛りの対応やごはん無しにして代わりに簡単なサラダセット等も女性には大変ニーズがあります。(ご飯を残す事って、罪悪感があります。そして、少しでもご飯を減らしてホッとできるのも女心かもしれません。)パンについてもブランパン(低糖質パン)などの対応もできたら、それだけでおかずはさておき?見新しさで購買動機の一つになると思います。
その他トレンド:特に昨今では紫を取り入れると見栄え良くなり、女性に人気です。紫キャベツのマリネやいつもの玉ねぎを赤玉ねぎを取り入れてみるのも有効です。また、トレンドワードにもなっている「腸活」これは健康志向テイクアウト販売にも繋げていきたいものです。麹や味噌を使った調味や、食物繊維としての海藻、ごぼうやきのこ類を使ったメニューなど。ヨーグルトを使ったタレやソースも良いかもしれません。
重要なのは、なぜその食材を使っているか、どうしてこの調味にしているかを購買層が感じられることです。「美味しい+健康理由」が価値作りになります。(例え、原価調整のための食材だとしても必ずや健康理由を見出すことは可能です、商品PRに活用!)そして言うまでもなく「美味しくなければ続かない」いくら健康的でも美味しさの補填がなければ購買リピートには繋がらないです。次回コラムにつづきます。
Text by
坂口もとこ
理事 / モッチ&ベントンフードコンサルティング株式会社
メニュープランナー、フードビジネスコンサルタント
2004年より料理教室を主宰。雑誌や書籍へのレシピ提供、メニュー開発を行い様々なプロジェクトに参画し食のプランナーとして確立。現在、メニュー開発、食のブランディング企画コンサルティング業務などを主に行う。