2016/12/01

「メニュー開発に力を注がなければならない理由-2」

 

「光陰矢の如し」。師走です。歳を経るにつれて時間の過ぎ方がどんどん加速していっているように感じている理事の出です。さて、前月の続きです。

(4) ウチコレ

昔と比べてお客様から聞かれるようになったのが「何が美味しいの」「何がおすすめ?」だと感じています。
更に食べログ等のネット媒体が店選びの主情報となってくると、そこに載せられているコメントや写真が大きな要因となります。
美味しいというだけなら、今の時代不味いものを探す方が大変です。コンビニの食べ物だって絶対に馬鹿になりません。美味しいというだけではお客様の記憶に残りません。ですので、更に踏み込んで「うちに来たらこれは絶対に食べていってください」という商品がないと覚えてもらえません。利用動機として「あの店へ行こう」よりも「○○を食べに行こう」ですし、「あの店は何でも美味しい」よりも「あそこの店は○○だけは絶対に美味しい」の方が利用動機として強い時代です。ウチコレ商品はメイン料理でなくともかまいません。オードブル系でもデザートでもよいのです。この店に来たら「これを食べなきゃ」です。
因みに掲載の写真は「メガ盛り肉プレート」という商品。牛、豚、鶏の肉を焼成前1kgのステーキプレートです。別に何ということはない料理だとお思いでしょうが、このお店ではこのプレートが1テーブル当たり平均出数が1.6皿。つまり来たお客様のテーブル以上にこの料理が出ていることになります。ウチコレに自然になったわけではありません。スタッフ全員で、ウチの店に来たら絶対コレですと訴求を続けた結果です。ウチコレが生まれた結果、この店の売上は前年200%にまでなりました。

(5) 写真

お客様が料理の写真を撮るのが普通の光景である時代。自分の食べたものの記録として撮っている方もいるでしょうが、これは少数派。思わず写真を撮りたくなる料理であるかが大切です。料理を決して馬鹿にするわけではありませんが、「写真を撮りたくなる料理でなければ駄目」と言い切りたいと思います。日本の外食率は43%までになりました。お客様の外食経験も高い状況です。前述しましたが、記憶に残らない時代になっているのです。「普通」という評価はまた行こうにはなりません。昔外食が特別だった時代は、外食をしたという鮮烈な記憶に料理も残されてきました。しかし、週に3度、4度と外食する方には余程のインパクトがないと記憶に残りません。盛付や器など料理をどう見せるかが大切なのです。奇をてらえと言っているわけではありません。でも、良い意味でお客様を裏切る、思っていることより少しずらしてあるということは大切です。お客様が思わず写真を撮ってしまう。それがSNSで拡散されていく。お金のかからない販促です。

また掲載したケーキのような写真、何だと思います?実はこれ、「肉じゃが」です。上の赤いのはビーツをおろしたもの。ソースは甘醤油ベースの地です。皆さん、写真を撮ってしまいます。
このお店は、これだけでない仕組みがたくさんあります。料理の提供方法でもエスプーマを使ったり窒素ガスを使ってテーブルで凍らせたり。駅からは遠く、繁華街からは歩いて行けないような立地としては最低の場所ですが、20坪程度で毎月1300万円くらいは売っています。写真に撮ってもらってナンボとここの経営者は言います。

 

Text by

出 和樹

KHMコンサルティング 代表

一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会:専務理事
研修担当
フードビジネス・ハイジーンコントロールコンサルタント